医療法人 荒巻医院

代表的な疾患

代表的な疾患

胃がん

胃がんは、胃の粘膜細胞ががん化して増殖することで発生します。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、発見が遅れると進行して手遅れになる恐れがある疾患です。

胃がんの原因

ピロリ菌感染

胃がん患者の多くにピロリ菌感染が見られ、発生に深く関わっていると考えられています。

生活習慣の乱れ

喫煙、食生活の乱れ、過度な飲酒、ストレスなども原因に挙げられます。

ピロリ菌の有無を確認

現在症状がなくても、リスクに心当たりがある方は一度胃カメラ検査でピロリ菌の有無を確認することをお勧めします。

胃がんの症状

みぞおちの痛み・違和感、吐き気、膨満感

がんにより消化管が狭くなると、食べ物の通過が妨げられ、痛みや吐き気が生じることがあります。

吐血、下血(タール便)、貧血

がんの表面からの出血により、血を吐いたり黒い便が出たりすることがあり、持続すると貧血を招きます。

体重減少、倦怠感

がん細胞に栄養を奪われることで、しっかり食べていても体重が減り、体がだるくなることがあります。

胃がんの発見に有効な検査

胃カメラ検査(内視鏡検査)

内視鏡を鼻や口から入れ、食道・胃・十二指腸を直接観察します。微細な早期がんの発見に非常に有効で、検査中に組織を採取して詳しく調べることも可能です。

胃バリウム検査

造影剤を飲み、レントゲンで胃の形や凹凸を確認します。健診などで広く行われていますが、小さな病変を見逃しやすく、組織の採取ができないといったデメリットがあります。

CT・MRI・PET検査

体の断面の撮影やブドウ糖の取り込みを画像化し、がんの広がりや転移を詳しく調べます。内視鏡検査の結果と併せて、総合的な診断に用いられます。

大腸がん

大腸がんは、結腸や直腸に発生するがんです。
良性のポリープががん化する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合があります。

このような方は特に注意が必要です

  • 便潜血検査で「陽性」が出た方(※必ず大腸カメラを受けてください)
  • 40歳以上の方(50歳から発症率が急増します)
  • ご家族に大腸がんの既往歴がある方
  • 喫煙・飲酒の習慣がある、または肥満気味の方
  • 赤身肉や加工肉をよく食べる方

大腸がんの症状

初期の大腸がんは自覚症状がほとんどありません。「痔だと思っていたら、実は奥にがんが隠れていた」というケースも少なくないため、以下の症状がある場合は早急な検査が必要です。

便秘・下痢・腹痛・腸閉塞

がんが大きくなると腸の通り道が狭まり、便秘や下痢、お腹の張り、激しい腹痛を引き起こします。

血便・貧血

がん表面の脆い血管から出血し、便に血が混じります。出血が続くことで貧血を招くこともあります。「血便=痔」と自己判断するのは禁物です。

大腸がんに有効な検査

大腸カメラ検査(内視鏡検査)

肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察します。微細な早期がんの発見に最も有効で、がん化する前の「ポリープ」をその場で切除することで、がんの予防も可能です。

CT・MRI・PET検査

身体の断面やがん細胞の広がりを調べる検査です。大腸カメラの結果と併用することで、より正確な総合診断が可能になります。

腫瘍マーカー検査

血液や尿からがんの兆候を調べます。主に治療後の経過観察などに用いられ、確定診断には他の検査との組み合わせが必要です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎は、胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、食道の粘膜に炎症を引き起こす疾患です。本来、食道と胃の間にある筋肉(下部食道括約筋)が逆流を防いでいますが、この筋肉が正しく機能しなくなることで発症します。

逆流性食道炎の主な症状

  • 胸やけ(胸が焼けるような感じ)、呑酸(酸っぱい液体が上がってくる感覚)。
  • のどの痛みや違和感、飲み込みにくさ、声枯れ、慢性的な咳、喘息のような症状、胸の痛み。

逆流性食道炎の主な原因

加齢や肥満、妊娠、喫煙、姿勢(前かがみなど)によって下部食道括約筋が緩むことや、胃酸の過剰な分泌、腹圧の上昇が主な原因です。また、胃が胸の方へ飛び出す「食道裂孔ヘルニア」などの消化器疾患が関与していることもあります。

治療法

生活習慣の改善アドバイス
  • 食事の見直し(高脂肪食や刺激物を控える)。
  • 食後すぐに横にならない、寝る際に頭を少し高くする、左側を下にして寝るなどの工夫。
  • 適正体重の維持、禁煙、ストレス管理。
薬物療法

胃酸の分泌を抑える薬(胃酸分泌抑制薬)を中心に、症状に合わせて胃腸の動きを助ける薬や粘膜を保護する薬を組み合わせて処方いたします。

急性胃炎・慢性胃炎

胃の粘膜が炎症を起こす「胃炎」には、急激に症状が現れる急性胃炎と、長期にわたって炎症が続く慢性胃炎があります。それぞれ原因や性質が異なり、特に慢性胃炎は放置すると胃がんのリスクを高めるため、適切な診断と治療が重要です。

急性胃炎:突然の痛みや不快感

ストレスや不摂生などが引き金となり、一時的に胃の粘膜が荒れる状態です。

主な原因

暴飲暴食、刺激物の摂り過ぎ、過度なストレス。また、鎮静剤や抗生剤の副作用、食中毒、感染症なども原因となります。

主な症状

突然の胃痛・みぞおちの痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、発熱など。

慢性胃炎(萎縮性胃炎):胃がんのリスクに直結

主にピロリ菌感染によって、胃の粘膜が長期間ダメージを受け続ける状態です。進行して粘膜が薄くなった状態を「萎縮性胃炎」と呼び、さらに進むと粘膜が腸の組織のように変化(腸上皮化生)し、胃がんが発生しやすい環境になってしまいます。

主な原因

約80%がピロリ菌感染によるものです。

主な症状

胃痛、胸やけ(特に夜間や空腹時)、胃の重苦しさ、吐き気、食欲不振など。

治療法

薬物療法

胃酸の分泌を抑える薬や胃粘膜を保護する薬を用い、速やかに症状を和らげます。

ピロリ菌の除菌治療

慢性胃炎の原因がピロリ菌である場合、除菌治療を行うことで将来の胃がんリスクを低減させます。※慢性胃炎と診断された場合、検査や治療には健康保険が適用されます。

生活習慣の改善

食事内容や生活リズムを見直し、自律神経を整えて胃の機能を正常に戻すサポートをいたします。

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛や便通異常(下痢・便秘)が繰り返されるにもかかわらず、内視鏡検査や血液検査で炎症や腫瘍などの明確な異常が見つからない疾患です。命に関わる病気ではありませんが、症状のコントロールが難しく、日常生活や仕事に大きな影響を及ぼすことがあります。ストレスとの関わりが深く、お腹の症状以外に不安、不眠、めまい、頭痛などを伴うことも少なくありません。

過敏性腸症候群の病型

下痢型(IBS-D)

泥状便や水様便が多く、激しい腹痛を伴うことがあります。

便秘型(IBS-C)

コロコロとした硬い便が多く、排便時に腹痛が生じる場合があります。

混合型(IBS-M)

下痢と便秘を交互に繰り返します。

分類不能型(IBS-U)

上記のいずれにも明確に当てはまらないタイプです。

過敏性腸症候群の原因

原因は完全には解明されていませんが、ストレスや神経伝達物質の異常、ホルモン、遺伝的要因などが関与していると考えられています。また、感染性腸炎にかかった後にIBSを発症しやすいことも知られています。

治療法

薬物療法

病型に合わせ、消化管運動機能調整薬、下痢止め、セロトニン受容体拮抗薬などを処方します。整腸剤や漢方薬を組み合わせることもあります。

食習慣の改善

刺激物やアルコールを控え、3食規則正しく摂ることを推奨しています。ただし、厳格すぎる制限はストレスになるため、無理のない範囲でアドバイスいたします。

生活習慣の改善

十分な休息と規則正しい生活を心がけ、朝食後にトイレに行く習慣をつけるなど、排便リズムを整えていきます。

アニサキス症

アニサキス症は、サバやアジ、イカなどの生鮮魚介類に寄生する「アニサキス」という体長2〜3cmほどの寄生虫を、生(または加熱・冷凍不十分)で食べることで起こる疾患です。
食べた数時間後から翌日にかけて、アニサキスが胃や腸の壁に食いつきアレルギー反応を引き起こすことで、耐えがたいほどの激しい痛みが生じるのが特徴です。

アニサキス症

アニサキス症の主な症状

  • 激しい上腹部痛
  • 吐き気・嘔吐
  • 下腹部痛

アニサキスの主な感染源

特にサバが代表的ですが、他にもアジ、サンマ、カツオ、イワシ、イカなどの魚介類に寄生しています。これらを刺身やシメサバなど、生の状態で食べることで感染リスクが高まります。

アニサキス症の種類と治療方法

胃アニサキス症(最も一般的)

食後数時間で激痛が走ります。

治療

胃カメラ検査を行い、内視鏡の先端にある鉗子(かんし)でアニサキスを直接摘出します。摘出後は、速やかに痛みが改善することがほとんどです。

小腸アニサキス症

食後十数時間から数日後に、強い下腹部痛が現れます。

治療

胃を超えて小腸まで到達している場合、内視鏡での摘出が困難になります。当院で小腸アニサキス症が疑われると判断した場合は、速やかに適切な処置が可能な近隣の総合病院をご紹介いたします。

潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍ができる炎症性腸疾患(IBD)の一つです。
はっきりとした原因はまだ解明されていませんが、免疫系の異常が深く関わっていると考えられています。
この病気は、症状が強く出る「活動期」と、症状が落ち着く「寛解期」を繰り返すのが特徴です。厚生労働省から難病に指定されていますが、適切な治療と管理を行うことで、健康な時と変わらない日常生活を送ることが可能です。

潰瘍性大腸炎・クローン病

潰瘍性大腸炎の主な症状

  • 粘液や血の混じった下痢、激しい腹痛
  • 重症化すると、頻繁な血便、発熱、貧血、急激な体重減少などが現れる

合併症と定期検査の重要性

腸の合併症

出血、狭窄(通り道が狭くなる)、穿孔(穴が開く)などのほか、中毒性巨大結腸症といった重篤な状態を招くこともあります。

腸以外の合併症

関節炎、口内炎、皮膚の異常、目の炎症などが起こる場合があります。

がん化のリスク

発症から長期間経過すると、慢性的な炎症が原因で大腸がんを発症するリスクが高まるため、定期的な大腸カメラ検査が不可欠です。

治療法

薬物療法

基本となる5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)のほか、炎症が強い場合はステロイドを使用します。症状に応じて生物学的製剤や免疫調節薬なども検討します。

生活・食事指導

低脂肪・低繊維で刺激の少ない食事のアドバイスや、ストレス管理など、寛解状態を長く保つためのサポートを行います。

機能性ディスペプシア

胃もたれや痛みなどのつらい症状が続いているにもかかわらず、内視鏡検査(胃カメラ)を受けても、がんや潰瘍、炎症といった明確な異常が見つからない病気です。
日本人の約10人に1人が患っているとも言われる非常に身近な疾患です。命に関わる病ではありませんが、仕事や日常生活に大きな支障をきたし、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまうことが大きな問題となります。

機能性ディスペプシア
このような症状、ありませんか?
  • よくお腹が張っている
  • すぐにお腹がいっぱいになる(早期飽満感)
  • 空腹時にみぞおちが痛むことがある
  • 食事の前後に胃もたれや吐き気を感じる
  • ゲップが頻繁に出る

主な原因

胃の運動機能の低下

胃が適正に広がらない、または食べたものを十二指腸へ送り出す動きが鈍くなることで、胃もたれや早期飽満感が起こります。

胃・十二指腸の知覚過敏

通常なら感じない程度の胃酸や食べ物の刺激に対し、過剰に反応して痛みや違和感が生じます。

ストレスの影響

脳と胃腸は密接に関連しています。ストレスによって自律神経が乱れると、胃腸の働きに悪影響を及ぼします。

その他

ピロリ菌感染、喫煙・飲酒、不規則な食生活などの生活習慣も原因となります。

治療法

生活習慣の改善アドバイス

ゆっくりよく噛んで食べる、腹八分目を心がける、食後すぐに動き回らないなど、胃に優しい習慣を提案します。また、十分な睡眠や適度な運動による自律神経の調整もサポートします。

最適な薬物療法

胃酸分泌抑制薬、胃の動きを助ける消化管運動機能改善薬、漢方薬などから、患者様の症状に合わせて処方します。ストレスが強い場合は、抗不安薬などが有効な場合もあります。

ピロリ菌除菌

感染が判明した場合は、除菌治療を優先して行います。